長時間の座り仕事で感じる体の硬さ対策:簡単セルフケアと予防習慣
長時間の座り仕事は、私たちの体にさまざまな影響を及ぼします。中でも、多くの方が感じているのが「体の硬さ」ではないでしょうか。特定の姿勢を長時間続けることで、首、肩、背中、腰、股関節などがこわばり、動きが悪くなっていると感じることがあります。
長時間の座り仕事でなぜ体が硬くなるのか
長時間同じ姿勢で座っていると、特定の筋肉が縮んだままになり、血行が悪化しやすくなります。特に、座るという動作は、体の前面(お腹側)の筋肉(腸腰筋など)を縮ませやすく、背面(背中側)の筋肉(背筋や臀筋)は引き伸ばされた状態になりやすい傾向があります。
このような状態が続くと、筋肉は弾力性を失い、文字通り「硬く」なってしまいます。体の硬さは、肩こりや腰痛、首の痛みなどの直接的な不調だけでなく、疲労感の増大や、体の動きが悪くなることによる日常動作への影響にもつながることがあります。
体の硬さを感じたら、ぜひこれからご紹介する簡単セルフケアを試してみてください。オフィスや自宅で、座ったままでもできるものが中心です。
体の硬さを和らげる簡単セルフケア
体の硬さを感じやすい部位を中心に、休憩時間やスキマ時間にできるストレッチをご紹介します。それぞれのストレッチは、呼吸を止めずに行い、心地よい伸びを感じる範囲で行うことが大切です。
1. 首・肩周りのストレッチ
首や肩は、デスクワークで最も硬さを感じやすい部分です。 * 手順: 1. 椅子に座り、背筋を軽く伸ばします。 2. 右手を頭の上から左耳に添えます。 3. 息を吐きながら、頭をゆっくりと右側に倒します。左の首筋が伸びるのを感じましょう。 4. この姿勢で15〜20秒キープします。 5. ゆっくりと頭を戻し、反対側も同様に行います。 6. 左右それぞれ2〜3回繰り返します。 * ポイント: 肩がすくまないようにリラックスさせます。手で無理に引っ張らず、重さを利用するイメージで行いましょう。 * 効果: 首筋や肩の僧帽筋などを伸ばし、こわばりを和らげます。血行促進にもつながります。
2. 背中・体側のストレッチ
丸まりがちな背中や、同じ姿勢で固まりやすい体側を伸ばします。 * 手順: 1. 椅子に座り、両手を組んで頭の上に持ち上げます。手のひらは天井に向けます。 2. 息を吸って背筋を伸ばし、息を吐きながらゆっくりと上半身を右側に倒します。左の体側(脇腹あたり)が伸びるのを感じましょう。 3. この姿勢で15〜20秒キープします。 4. ゆっくりと体を起こし、反対側も同様に行います。 5. 左右それぞれ2〜3回繰り返します。 * ポイント: お尻が椅子から浮かないように注意します。倒す際に背中が丸まらないように、上に引き上げながら行う意識を持ちましょう。 * 効果: 広背筋や体側の筋肉を伸ばし、背中の丸まりや体側の硬さを和らげます。
3. 股関節・太もも裏のストレッチ
座りっぱなしで縮みやすい股関節周りや、硬くなりがちな太もも裏を伸ばします。 * 手順(座ったまま): 1. 椅子に浅めに座り、右足を前に伸ばしてかかとを床につけます。つま先は天井に向けます。 2. 背筋を伸ばし、股関節から体を前に倒していきます。太ももの裏側が伸びるのを感じましょう。 3. この姿勢で15〜20秒キープします。 4. ゆっくりと体を起こし、反対側も同様に行います。 5. 左右それぞれ2〜3回繰り返します。 * 手順(可能であれば立ち上がって): 1. 椅子の背もたれなどにつかまり、姿勢を安定させます。 2. 右足を一歩後ろに引き、かかとを床につけたまま膝を軽く曲げます。左足は前に出し、膝を軽く曲げます(ランジのような姿勢)。 3. 骨盤を立てるように意識し、右の股関節の前側(太ももの付け根あたり)が伸びるのを感じます。 4. この姿勢で15〜20秒キープします。 5. ゆっくりと体を戻し、反対側も同様に行います。 6. 左右それぞれ2〜3回繰り返します。 * ポイント: 座ったまま行う場合は、背中が丸まらないように注意します。立ったまま行う場合は、腰を反らしすぎないように、お腹を軽く引き締めて行いましょう。 * 効果: 股関節前面の腸腰筋や、太もも裏側のハムストリングスを伸ばし、骨盤周りの硬さを和らげます。
体の硬さを予防する日常の習慣・意識
セルフケアだけでなく、日頃の習慣も体の硬さの予防に重要です。
- こまめな休憩を取り、体を動かす: 1時間に一度は席を立ち、軽く歩いたり、伸びをしたりする時間を作りましょう。短時間でも姿勢を変え、筋肉を動かすことが大切です。
- 座り姿勢を見直す: 深く腰掛け、骨盤を立てるように座ることを意識しましょう。足の裏を床につけ、膝は約90度になるように椅子の高さを調整します。デスクと体の距離も適切に保ち、猫背にならないように注意しましょう。ただし、完璧な姿勢を長時間維持することは難しいため、時々姿勢を変えることも重要です。
- 水分をこまめに摂取する: 体の水分が不足すると、筋肉や組織の柔軟性が失われやすくなります。意識的に水分を摂りましょう。
- 入浴で体を温める: シャワーだけでなく、湯船にゆっくり浸かることで、筋肉がリラックスし、血行が促進されます。一日の体の硬さを和らげるのに効果的です。
まとめ
長時間の座り仕事による体の硬さは、多くの不調の原因となり得ます。今回ご紹介した首・肩、背中・体側、股関節・太もも裏の簡単なストレッチは、デスクワークの合間や休憩時間に手軽に行うことができます。
これらのセルフケアに加え、こまめな休憩や適切な姿勢の意識、水分補給や入浴といった日頃の習慣を見直すことが、体の硬さの予防につながります。
体の硬さを放置せず、日々のセルフケアや習慣で、快適な座り仕事環境を維持していきましょう。継続することで、きっと体の変化を感じられるはずです。