長時間の座り仕事でつらい体の冷え対策:簡単セルフケアと予防習慣
長時間デスクに向かう座り仕事では、同じ姿勢を続けることで、体のさまざまな部分に不調が出やすくなります。肩こりや腰のつらさ、目の疲れといった具体的な症状だけでなく、「どうも体が冷える」「手足がいつも冷たい」といった漠然とした冷えに悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
体の冷えは、単につらいだけでなく、集中力の低下や疲労感にもつながることがあります。しかし、日々の仕事の合間に少しの工夫を取り入れることで、冷えを和らげ、快適に過ごすことが期待できます。
この記事では、座り仕事による体の冷えの原因と、オフィスや自宅で手軽にできるセルフケア、そして冷えを予防するための日頃の習慣についてご紹介します。
座り仕事で体が冷えやすい理由
長時間の座り仕事が体の冷えにつながりやすい主な理由として、以下の点が挙げられます。
- 血行不良: 同じ姿勢を長時間続けることで、筋肉の活動が低下し、血行が悪くなります。特に下半身の血行が滞りやすく、手足の末端に血液が十分に行き渡りにくくなるため、冷えを感じやすくなります。
- 筋肉量の低下・活動不足: 体温の多くは筋肉で作られます。座っている時間が長いと、立つ、歩くといった日常的な動作が減り、活動量が低下しがちです。これにより筋肉量が維持されにくく、体内で熱を生み出す能力が低下する可能性があります。
- 自律神経の乱れ: ストレス、不規則な生活リズム、長時間同じ姿勢でいることなどが、体温調節に関わる自律神経のバランスを乱すことがあります。
- 内臓の冷え: 猫背などの悪い姿勢で長時間座っていると、内臓が圧迫され、働きが鈍くなることで、体の内側から冷えを感じることがあります。
座り仕事の合間にできる簡単セルフケア
休憩時間や仕事の合間に、デスクに座ったまま、あるいは短時間でできる簡単なセルフケアをご紹介します。これらのケアは、血行を促進し、固まった筋肉を動かすことで、体の冷えを和らげる助けになります。
1. 足首回し
足首は血行の滞りやすい部分です。足首を回すことで、下半身全体の血行促進が期待できます。
- 椅子に座ったまま、片方の足を少し上げて、足首をゆっくりと大きく回します。
- 内回し、外回しをそれぞれ10回ずつ行います。
- 反対側の足も同様に行います。
- ポイント: 足の指先で円を描くように意識すると、より効果的です。
2. ふくらはぎのストレッチ
ふくらはぎは「第二の心臓」と呼ばれるほど、血行にとって重要なポンプ機能を持っています。ふくらはぎを動かすことで、下半身の血行改善につながります。
- 椅子に浅く座り、片方の足を前に伸ばしてかかとを床につけます。つま先は天井に向けます。
- 背筋を伸ばし、体を少し前に倒します。伸ばした足のふくらはぎが心地よく伸びるのを感じましょう。
- この姿勢を20秒程度キープします。
- 反対側の足も同様に行います。
- ポイント: ふくらはぎの伸びを意識し、呼吸は止めずに行いましょう。
3. 手足のグーパー体操
末端の血行促進に効果的な簡単な体操です。
- 椅子に座ったまま、手と足の指を同時に、力強く「グー」の形に握り込みます。
- 次に、指をできるだけ大きく開いて「パー」の形にします。
- 「グー」「パー」をそれぞれ10回〜20回繰り返します。
- ポイント: 指先までしっかりと意識して動かすことが大切です。
4. 肩甲骨回し
肩甲骨周りを動かすことは、上半身だけでなく、全身の血行促進にもつながります。
- 椅子に座ったまま、両肩に指先を置きます。
- 肘で大きな円を描くように、ゆっくりと前から後ろに肩甲骨を回します(10回程度)。
- 次に、後ろから前に回します(10回程度)。
- ポイント: 肩甲骨がしっかりと動いていることを意識しましょう。
5. 深呼吸
深い呼吸はリラックス効果だけでなく、体の内側から血行を促進する効果も期待できます。
- 背筋を伸ばして椅子に座ります。
- 鼻からゆっくりと息を吸い込み、お腹を膨らませます。
- 口から、吸うときの倍くらいの時間をかけて、ゆっくりと息を吐き切ります。お腹がへこむのを感じましょう。
- これを5回程度繰り返します。
- ポイント: 呼吸に合わせて体の力が抜けていくのを感じましょう。
冷えを予防するための日頃の習慣
セルフケアだけでなく、日頃の習慣を見直すことも冷え予防には重要です。
1. 服装の工夫
体の熱を逃がさないように、首、手首、足首といった「首」と名のつく部分を温めることを意識しましょう。マフラーやネックウォーマー、アームウォーマー、厚手の靴下などが有効です。また、肌着で体の熱を閉じ込め、重ね着で体温調節をしやすいように工夫するのも良い方法です。ひざ掛けやブランケットを使うのも効果的です。
2. 定期的な休憩と軽い運動
長時間座りっぱなしを避け、最低でも1時間に一度は席を立つようにしましょう。トイレに行く、飲み物を取りに行くといった短い移動でも構いません。可能であれば、階段を使ったり、オフィスの周りを軽く歩いたりする時間を作るのが理想的です。これにより、滞りがちな血行を改善できます。
3. 食事の工夫
体を温める効果のある食材を積極的に取り入れましょう。生姜、唐辛子、ネギ、ニラ、カボチャ、根菜類などが代表的です。また、体を冷やしやすいとされる冷たい飲み物や南国のフルーツなどの摂りすぎには注意が必要です。温かいスープや飲み物をこまめに摂ることを心がけましょう。
4. 入浴習慣
シャワーだけで済ませず、湯船にゆっくり浸かる習慣をつけましょう。38℃~40℃程度のぬるめのお湯に15分~20分程度浸かることで、体の芯から温まり、血行が促進されます。リラックス効果もあり、自律神経を整える助けにもなります。
5. 適度な運動の習慣化
座り仕事が多い方こそ、意識的に体を動かす習慣を持つことが重要です。ウォーキング、ジョギング、ストレッチ、筋トレなど、無理なく続けられる運動を見つけて行いましょう。特に、下半身の大きな筋肉を鍛えることは、体温生成能力を高めるのに役立ちます。
まとめ
長時間の座り仕事による体の冷えは、血行不良や筋肉量の低下などが原因で起こりやすくなります。ご紹介した休憩時間の簡単セルフケアや、日頃の生活習慣の見直しは、これらの原因にアプローチし、体の冷えを和らげる効果が期待できます。
すべてを一度に行う必要はありません。まずは一つか二つ、手軽に始められるものから試してみてはいかがでしょうか。日々の小さな積み重ねが、冷えにくい体へとつながっていきます。
もし、冷えが非常に強く、日常生活に支障がある場合や、他の気になる症状がある場合は、念のため医療機関に相談することも検討してください。ご自身の体と向き合い、快適な座り仕事ライフを送りましょう。