長時間の座り仕事で硬くなる上腕と肘をケアする 簡単ストレッチ&習慣
座り仕事、気づけばカチカチ?上腕と肘の意外な負担
長時間パソコンに向かって座り仕事をしていると、肩や首、腰などに不調を感じやすいものです。しかし、意外と見落としがちなのが、腕、特に上腕(二の腕や力こぶのあたり)と肘にかかる負担です。キーボードを打つ、マウスを操作するといった同じ姿勢や動きを続けることで、腕の筋肉は緊張し続け、硬くなってしまいます。
上腕や肘の硬さは、単なる腕の疲れに留まらず、肩こりや首のつらさ、さらには手首や指の不調にも繋がることがあります。腕の関節である肘の動きが悪くなると、肩や手首で無理な動きを補おうとして、別の場所に負担がかかってしまうからです。
この記事では、長時間の座り仕事によって硬くなりがちな上腕と肘のつらさを和らげ、予防するための簡単なセルフケア方法と、日頃から意識したい習慣をご紹介します。休憩時間や仕事の合間に手軽にできるものばかりですので、ぜひ試してみてください。
なぜ座り仕事で上腕と肘は硬くなるのか?
長時間の座り仕事が上腕や肘に負担をかける主な理由はいくつか考えられます。
- 同じ姿勢の維持: キーボード入力やマウス操作の際、多くの場合、腕はほぼ固定された状態で同じ角度に保たれます。特に肘は曲がった状態が長く続きがちです。これにより、上腕の筋肉(曲げる筋肉、伸ばす筋肉)が常に緊張したり、逆に緩みっぱなしになったりして、血行が悪くなり硬さを生じます。
- 繰り返しの動き: タイピングやマウスのクリックなど、指先や手首の細かい動きを繰り返す際、腕全体の筋肉も微妙に緊張を強いられます。この継続的な負荷が、筋肉や腱を疲労させ、硬さを招きます。
- アームレストの位置: デスクや椅子の高さ、アームレストの位置が適切でないと、腕が宙に浮いた状態になり、上腕や肩に余計な力が入りやすくなります。
- 血行不良: 長時間同じ姿勢でいること自体が、体全体の血行を悪くします。腕も例外ではなく、筋肉が酸素や栄養を受け取りにくくなり、疲労物質が溜まりやすくなります。
これらの要因が複合的に作用することで、上腕は硬く張り、肘の動きもスムーズさを失いやすくなります。
座り仕事中にできる!簡単セルフケア
ここでは、オフィスや自宅で座ったまま、または立ったまま短時間でできる上腕と肘のセルフケア方法をご紹介します。
1. 上腕二頭筋(力こぶ側)のストレッチ
デスクワークで肘を曲げている時間が長いと、上腕二頭筋は縮こまりがちです。この筋肉を伸ばすことで、腕全体の血行を促進し、肘の動きをスムーズにします。
手順:
- 椅子の背もたれに浅く腰かけ、背筋を軽く伸ばします。
- 片方の腕を後ろに回し、手のひらを外側(親指が下)に向けて、椅子の背もたれやデスクの端などに置きます。(立てるタイプの背もたれであれば、手をついて腕を後ろに伸ばしやすいです)
- 胸を少し張りながら、腕を置いた側とは反対方向へ体をゆっくりと捻じります。このとき、腕の付け根から肘にかけての前面(力こぶ側)が伸びているのを感じてください。
- 痛みを感じない範囲で、心地よい伸びを感じる位置で15秒〜20秒キープします。
- ゆっくりと元の体勢に戻します。
- 反対側の腕も同様に行います。
ポイント: 肩がすくまないようにリラックスして行いましょう。呼吸は止めずに自然に行います。
2. 上腕三頭筋(二の腕側)のストレッチ
上腕三頭筋は肘を伸ばす際に使われます。この筋肉も、腕の重さを支えたり、キーボードを打つ際の姿勢維持で負担がかかることがあります。
手順:
- 座ったままでも、立った状態でも行えます。
- 片方の腕を頭の上に上げ、肘を曲げ、手のひらを背中に回します。
- 反対側の手で、頭の上に上げた腕の肘を軽く掴みます。
- 掴んだ手で肘をゆっくりと下方向(または軽く真横)に引っ張ります。このとき、二の腕の後ろ側が伸びているのを感じてください。
- 痛みを感じない範囲で、心地よい伸びを感じる位置で15秒〜20秒キープします。
- ゆっくりと元の体勢に戻します。
- 反対側の腕も同様に行います。
ポイント: 肩や首に力が入らないように注意しましょう。無理に引っ張りすぎないようにしてください。
3. 肘周りの優しいマッサージ
肘関節の周りには、前腕や上腕につながる筋肉や腱が多く集まっています。これらの部位を優しくほぐすことで、肘の可動域を広げ、腕全体の緊張を和らげます。
手順:
- 腕をリラックスさせた状態で、もう片方の手の指を使って、肘の内側(小指側)、外側(親指側)の硬くなっている部分を探します。
- 硬さを感じる部分を、指の腹で小さな円を描くように優しく揉みほぐします。強い力は必要ありません。
- 肘の骨の際や、少しへこんでいる部分なども、痛みがない範囲で軽く押したり揉んだりしてみましょう。
- 特に肘を曲げ伸ばししたときに張りを感じる部分に意識を向けます。
- 片側1分程度を目安に行います。
- 反対側の肘も同様に行います。
ポイント: 決して強く押しすぎたり、痛みを我慢して行ったりしないでください。筋肉や腱を傷める可能性があります。心地よいと感じる範囲で行うことが大切です。
4. 腕全体のブラブラ体操
長時間同じ姿勢で固まった腕の力を抜き、血行を促進する簡単な体操です。
手順:
- 椅子から立ち上がります。難しい場合は、座ったままでも腕を動かすスペースを確保して行えます。
- 腕の力を完全に抜き、肩から腕を垂らします。
- 腕を前後に、または左右に、反動をつけて軽くブラブラと振ります。
- 肩の力も抜いて、腕の重みを感じながらリラックスして行います。
- 15秒〜30秒程度、心地よいと感じる間続けます。
ポイント: 無理に大きく速く振る必要はありません。腕の重さを利用して、自然に動かすのがポイントです。肩や肘の関節の詰まりが少しずつ解消されるのを感じられるかもしれません。
日頃から意識したい予防習慣
セルフケアを行うだけでなく、日頃の習慣を見直すことも、上腕や肘の不調を予防する上で重要です。
- こまめな休憩と姿勢のチェンジ: 少なくとも1時間に一度は席を立ち、軽く体を動かしましょう。腕を伸ばしたり、肩を回したりするだけでも効果があります。座っている間も、時々肘の角度を変えたり、アームレストを使って腕の重さを預けたりすることを意識しましょう。
- 作業環境の見直し: デスクと椅子の高さ、キーボードとマウスの位置が適切か確認しましょう。肘の角度が90度程度になるように調整すると、上腕や肩への負担が軽減されます。アームレストがある場合は、腕がリラックスできる高さに調整しましょう。
- 「力まない」意識: パソコン作業に集中すると、無意識のうちに腕や肩に力が入ってしまうことがあります。時々深呼吸をして、体の余分な力を抜くことを意識しましょう。肩を下ろし、腕の重さを感じてみてください。
まとめ
長時間の座り仕事は、上腕や肘にも知らず知らずのうちに負担をかけています。その硬さは、肩こりや他の部位の不調にも繋がる可能性があります。
ご紹介した上腕のストレッチ、肘周りのマッサージ、腕全体のブラブラ体操は、どれも仕事の合間や休憩時間に手軽に行えるものです。これらのセルフケアを習慣にすることで、上腕や肘の筋肉の緊張を和らげ、血行を促進し、つらい不調の改善や予防に繋げることができます。
ぜひ日々のワークスタイルにこれらのケアを取り入れ、快適に座り仕事に取り組んでください。継続することで、体が変わっていくのを実感できるはずです。