座り仕事で感じる耳周り・側頭部の固さ・重さ対策:簡単セルフケアと予防習慣
長時間にわたる座り仕事、特にPC作業に集中していると、体のあちこちに不調を感じることがあります。肩や首のつらさはよく話題になりますが、「なんだか耳の周りや頭の側面が重い」「締め付けられるような感じがする」といった感覚に悩まされる方もいらっしゃるかもしれません。
こうした耳周りや側頭部の不調は、長時間同じ姿勢でいること、集中による無意識の力み、そしてPC作業でヘッドホンを使用することなどが原因で起こりやすいものです。これらの不調は、集中力の低下を招くだけでなく、頭痛や首・肩のこりにも繋がる可能性があります。
この記事では、座り仕事で感じやすい耳周り・側頭部の固さや重さを和らげるための、オフィスや自宅で手軽にできるセルフケア方法と、日頃から意識したい予防習慣をご紹介します。簡単なケアで、日々の作業をもっと快適にしていきましょう。
なぜ座り仕事で耳周り・側頭部が固くなるのか
長時間の座り仕事中に耳周りや側頭部が固く重く感じるのは、主に以下の要因が複合的に関わっているためと考えられます。
- 長時間同じ姿勢の維持: 首や顎周りの筋肉が緊張した状態が続くことで、周辺の耳周りや側頭部の筋肉にも負担がかかります。
- 集中による無意識の力み: PC画面に集中するあまり、知らず知らずのうちに顎を食いしばったり、首や肩に力が入ったりします。この緊張が側頭部や耳周りの筋肉にも伝わります。
- ヘッドホンの使用: 長時間ヘッドホンを使用することで、耳介周辺が圧迫されたり、側頭部に重みや締め付けを感じたりすることがあります。
- 血行不良: 同じ姿勢が続くと全身の血行が悪くなりがちです。耳周りや側頭部も例外ではなく、血行不良によって筋肉が凝り固まりやすくなります。
これらの要因が重なることで、耳周りの感覚が鈍くなったり、側頭筋(こめかみから耳の上あたりにある筋肉)が緊張したりして、固さや重さとして感じられるようになります。
座り仕事中の耳周り・側頭部の簡単セルフケア
休憩時間や作業の合間に、座ったままできる簡単なセルフケアをご紹介します。力を入れすぎず、心地よいと感じる範囲で行いましょう。
1. 耳全体を優しくマッサージ
耳周りの血行を促進し、リラックス効果も期待できるマッサージです。
- 手順:
- 親指と人差し指で耳たぶを軽くつまみ、下に優しく引っ張ります(5秒程度)。
- 次に、耳の上部をつまみ、斜め上方向へ優しく引っ張ります(5秒程度)。
- 耳の中央部分をつまみ、真横へ優しく引っ張ります(5秒程度)。
- 耳全体を大きく円を描くように、ゆっくりと前回し・後ろ回しに数回ずつ回します。
- 最後に、耳全体を手で覆うようにして優しく揉みほぐします。
- ポイント: 耳全体がじんわりと温かくなるような感覚を目指します。痛みを感じるほど強く引っ張ったり揉んだりしないでください。
2. 側頭筋の軽いマッサージ
こめかみから耳の上にかけて広がる側頭筋の緊張を和らげます。頭痛予防にも効果が期待できます。
- 手順:
- 両手の人差し指、中指、薬指の腹を、それぞれこめかみあたりに置きます。
- 小さな円を描くように、優しくクルクルとマッサージします(10回程度)。
- 位置を少しずつ耳の上の方へずらしながら、同様にマッサージを続けます。
- 耳のすぐ上の側頭部まで行ったら、今度は後頭部に向かって指を滑らせるように優しく撫で下ろします。
- ポイント: 頭皮を動かすようなイメージで行うと効果的です。爪を立てず、指の腹を使いましょう。
3. 顎関節周辺の軽い開放ストレッチ
耳のすぐ近くにある顎関節の周りも、緊張しやすい部位です。顎の力を抜くことは、耳周りや側頭部のリラックスにも繋がります。
- 手順:
- 背筋を軽く伸ばして座ります。
- 口を「ぽかん」と軽く開け、顎の力を抜きます(5秒程度キープ)。
- ゆっくりと口を閉じます。
- もう一度軽く口を開け、顎をゆっくりと左右に動かしてみます(数回)。
- ポイント: 痛みを感じたら無理に行わないでください。大きく開けすぎる必要はありません。顎周りの緊張が和らぐ感覚を意識します。
4. 首の簡単なストレッチ
首の筋肉の緊張は、耳周りや側頭部の張りにも影響します。
- 手順:
- 座ったまま、顔を正面に向けます。
- 息をゆっくり吐きながら、頭を右にゆっくりと傾けます。右耳を右肩に近づけるイメージで(ただし肩は上げない)(15秒程度キープ)。首の左側が軽く伸びるのを感じます。
- 息を吸いながら、ゆっくりと頭を正面に戻します。
- 反対側も同様に行います(左耳を左肩に近づけるイメージで15秒程度キープ)。
- 息をゆっくり吐きながら、顎を引くようにして頭を前に倒します(15秒程度キープ)。首の後ろ側が軽く伸びるのを感じます。
- 息を吸いながら、ゆっくりと頭を正面に戻します。
- ポイント: 反動をつけず、ゆっくりと呼吸に合わせて行います。痛みを感じるほど強く伸ばさないでください。
耳周り・側頭部の不調を予防する習慣
セルフケアだけでなく、日頃の習慣を見直すことも大切です。
- 定期的に休憩を取る: 1時間に一度は作業から離れ、立ち上がったり軽く体を動かしたりしましょう。この際に上記のような簡単なセルフケアを取り入れるのが効果的です。
- ヘッドホンの使用時間を見直す: 可能であれば、長時間の連続使用を避け、休憩時間には必ず外しましょう。耳や側頭部への物理的な圧迫を減らすことが重要です。
- 無意識の力みに気づく: 作業に集中していると、顎を食いしばったり眉間にしわを寄せたりしやすいものです。時々、顎や顔、肩の力を抜くように意識してみましょう。
- 作業環境を調整する: モニターの位置が高すぎたり低すぎたりすると、首に負担がかかり、それが耳周りの緊張に繋がることがあります。目線が自然にモニターの上から3分の1あたりに来るように調整しましょう。
- 軽い運動を取り入れる: 全身の血行を良くすることは、局所的な凝りや張りの予防になります。休憩時間や就業後に軽いストレッチやウォーキングなどを行う習慣をつけましょう。
まとめ
長時間の座り仕事は、肩や首だけでなく、耳周りや側頭部にも固さや重さといった不調を引き起こすことがあります。これは、同じ姿勢の継続、集中による無意識の力み、ヘッドホンの使用などが原因と考えられます。
今回ご紹介した耳のマッサージ、側頭筋マッサージ、顎関節周辺のストレッチ、首のストレッチは、どれもオフィスや自宅で手軽に行えるものです。これらのセルフケアを休憩時間などにこまめに取り入れることで、耳周り・側頭部の血行を促進し、筋肉の緊張を和らげることができます。
また、定期的な休憩、ヘッドホンの適切な使用、無意識の力みに気づく習慣、作業環境の調整といった予防策も非常に重要です。
日々の小さなケアと意識が、つらい不調の軽減と予防に繋がります。今日からできることから一つずつ試していただき、座り仕事の時間を少しでも快適に過ごしていただければ幸いです。