座り仕事で弱りがちな骨盤底筋をケア:簡単セルフケアと習慣
長時間の座り仕事、お疲れ様です。日々のデスクワークで、肩こりや目の疲れ、腰の重だるさなど、様々な不調を感じているかもしれません。これらは座りっぱなしの姿勢が原因で起こりやすい、多くの人が抱える悩みです。
しかし、体の不調は、肩や腰といった分かりやすい部分だけでなく、体の奥深くにある、あまり意識しない筋肉にも影響を与えていることがあります。その一つが「骨盤底筋」です。骨盤底筋は、骨盤の底にハンモックのように広がる筋肉群で、姿勢の維持や内臓を支えるなど、私たちの体の土台として非常に重要な役割を担っています。
座り仕事でこの骨盤底筋が弱ると、姿勢が不安定になったり、腰や背中の張りに繋がったりする可能性があります。この記事では、座り仕事でなぜ骨盤底筋が弱りやすいのか、そしてオフィスや自宅で休憩時間などに手軽にできる、骨盤底筋をケアするための簡単なセルフケア方法と、日頃から意識したい習慣をご紹介します。これらのケアを取り入れることで、体の土台から整え、不調の緩和に繋がるかもしれません。
なぜ座り仕事で骨盤底筋が弱りやすいのか
長時間の座り姿勢は、骨盤底筋にいくつかの負担をかけます。
- 圧迫と血行不良: 座っている間、骨盤底筋は常に圧迫され、周辺の血行が悪くなりがちです。血行不良は筋肉への栄養供給を妨げ、機能低下を招く可能性があります。
- 活動量の低下: 立ち仕事や歩行に比べて、座り仕事では骨盤底筋を使う機会が極端に少なくなります。使わない筋肉は衰えやすく、骨盤底筋も例外ではありません。
- 姿勢の崩れ: 猫背や反り腰など、崩れた姿勢で座り続けると、骨盤の角度が適切でなくなり、骨盤底筋に余計な負担がかかったり、働きが制限されたりします。
骨盤底筋が弱まると、体の土台が不安定になり、そのバランスを取ろうとして腰や背中の筋肉に過剰な負担がかかり、腰痛や体の張りの原因の一つとなることがあります。また、呼吸が浅くなったり、お腹の不調に繋がることもあります。
オフィスでできる!骨盤底筋の簡単セルフケア
休憩時間や気分転換したい時に、座ったまま手軽にできる骨盤底筋のセルフケアをご紹介します。いずれも数分で完了します。
1. 座って骨盤底筋を意識するトレーニング
このトレーニングは、骨盤底筋を意識し、収縮・弛緩させることで、その機能を活性化させることを目指します。
- 手順:
- 椅子の背もたれにもたれかからず、坐骨で座面をしっかり捉えるようにして座ります。
- 軽く顎を引き、背筋を自然に伸ばします。肩の力は抜いてリラックスします。
- 息をゆっくり吐きながら、お尻の穴、尿道のあたりをキュッと引き締めるようなイメージで、骨盤底筋を持ち上げるように力を入れます。
- 息を吸いながら、力をゆっくりと緩めます。完全にリラックスさせることを意識します。
- ポイント:
- 他の部分(お腹、お尻、太ももなど)に力が入らないように注意します。骨盤底筋だけを意識して動かすのが理想です。
- 力を入れる強さは、全力ではなく3割程度の力で十分です。
- 動作はゆっくりと丁寧に行います。
- 回数:5回〜10回を1セットとして、1日に数セット行います。
2. 座ったまま骨盤の傾きを整えるストレッチ
骨盤周りの筋肉をほぐし、骨盤底筋が働きやすい環境を作ります。
- 手順:
- 椅子の背もたれにもたれかからず、坐骨で座面をしっかり捉えるようにして座ります。
- 両足を床にしっかりとつけます。
- 息を吐きながら、骨盤を後ろに倒すように、お腹を凹ませて背中を軽く丸めます(尾てい骨を少し前に出すイメージ)。
- 息を吸いながら、骨盤を前に起こすように、お腹を軽く突き出して背筋を伸ばします(尾てい骨を少し後ろに引くイメージ)。
- この骨盤の前後への動きを、呼吸に合わせてゆっくりと繰り返します。
- ポイント:
- 大きな動きではなく、骨盤がじんわりと動くのを感じる程度の小さな動きで行います。
- 背骨全体を大きく動かすというよりは、骨盤の動きに意識を集中します。
- 回数:5回〜10回を1セットとして行います。
3. 骨盤底筋と連動する呼吸法
深い呼吸は横隔膜を動かし、骨盤底筋とも連動して働きます。リラックス効果も期待できます。
- 手順:
- 椅子の背もたれにもたれかからず、姿勢を自然に伸ばして座ります。
- 片方の手をお腹に軽く当てます。
- 鼻から息をゆっくりと吸い込みます。お腹がじんわりと膨らむのを感じましょう。このとき、骨盤底筋も自然に緩むのを感じるかもしれません。
- 口から、吸うときの倍くらいの時間をかけて、細く長く息を吐き出します。お腹が凹むのを感じながら、骨盤底筋も自然に引き締まるのを感じてみましょう。
- この腹式呼吸を繰り返します。
- ポイント:
- 肩や胸に力が入らないように、お腹の動きに意識を集中します。
- 呼吸は無理せず、ご自身のペースで行います。
- 時間:2分〜3分程度行います。
骨盤底筋ケアのための日頃の習慣
セルフケアに加えて、日頃のちょっとした意識や習慣が、骨盤底筋の健康を保つ上で大切です。
- 正しい座り方を意識する: 坐骨でしっかりと座面を捉え、骨盤がニュートラルな位置(前にも後ろにも傾きすぎていない状態)になるように意識します。これだけで骨盤底筋への負担が軽減されます。
- 定期的に立ち上がる: 1時間に一度は席を立ち、軽く体を動かしたり、歩いたりすることで、骨盤周りの血行を促進し、骨盤底筋への圧迫を解放できます。
- 軽い運動を取り入れる: ウォーキングなど、骨盤周りの筋肉を適度に使う運動は、骨盤底筋全体の機能維持に役立ちます。
- 体の冷えを防ぐ: 特に下半身の冷えは血行不良を招き、骨盤底筋にも悪影響を与える可能性があります。ブランケットを使用したり、温かい飲み物を飲んだりして、体を冷やさないようにしましょう。
まとめ
長時間の座り仕事は、体の様々な部分に影響を与えます。特に骨盤底筋は、体の土台として見過ごされがちですが、その機能低下は姿勢の崩れや腰の不調など、様々な問題に繋がる可能性があります。
今回ご紹介したセルフケア(骨盤底筋トレーニング、骨盤の傾きを整えるストレッチ、呼吸法)は、どれもオフィスや自宅で手軽に行えるものです。また、日頃から正しい座り方を意識したり、定期的に立ち上がったりする習慣も重要です。
これらのケアを毎日の習慣に取り入れることで、骨盤底筋の機能維持・向上を図り、座り仕事による不調の緩和に繋がる可能性があります。ぜひ、ご自身の体と向き合う時間として、試してみていただければ幸いです。