座り仕事で弱りがちな体幹インナーマッスルをケア:簡単活性化セルフケアと習慣
長時間座って作業を続けることは、私たちの体に様々な影響を与えます。肩こりや目の疲れは多くの方が感じやすい不調ですが、実は体の中心である「体幹」も、座り仕事によって弱りやすい部分の一つです。
体幹が弱ると、体の軸が不安定になり、正しい姿勢を保つことが難しくなります。これが、漠然とした体の重だるさや、腰、背中など他の部位の不調につながることも少なくありません。
この記事では、座り仕事で弱りがちな体幹、特に姿勢維持に重要なインナーマッスルに焦点を当て、オフィスや自宅で手軽にできる簡単な活性化セルフケアと、日常で意識したい習慣をご紹介します。これらのケアを取り入れることで、体の安定性を高め、不調の軽減や予防につなげることができるでしょう。
なぜ座り仕事で体幹が弱りやすいのか?
私たちの体幹は、体のバランスを取ったり、内臓を支えたり、手足を動かす際の土台となったりする重要な役割を担っています。体幹を構成する筋肉の中でも、特に深層部にある「インナーマッスル」(腹横筋、多裂筋、骨盤底筋群、横隔膜など)は、意識せずとも働き、体の安定性を保つ機能があります。
しかし、長時間椅子に座っていると、これらのインナーマッスルは活動する機会が減ってしまいます。代わりに、体の表面に近いアウターマッスルを使って無理に姿勢を保とうとしたり、猫背になったりしやすくなります。これにより、本来のインナーマッスルの機能が低下し、「弱りやすい」状態になってしまうのです。体幹のインナーマッスルがうまく機能しないと、全身の動きの効率が悪くなり、特定の部位に負担がかかりやすくなります。
座り仕事中でもできる!体幹インナーマッスル活性化セルフケア
ここでは、座ったまま、あるいは短時間で手軽に行える体幹インナーマッスルの活性化エクササイズをご紹介します。休憩時間や気分転換にぜひ試してみてください。
1. ドローイン(座ったまま)
最も基本的で、どこでも行える体幹インナーマッスル(主に腹横筋)を意識するエクササイズです。
- 椅子に深く腰掛け、背筋を軽く伸ばします。足の裏を床につけましょう。
- 息を大きく吸い込み、お腹を膨らませます。
- 息をゆっくりと細く長く吐き出しながら、お腹を限界までへこませていきます。このとき、お腹を背骨に近づけるイメージで、下腹部を意識的に引き締めます。息を吐ききった状態でお腹をへこませたまま、数秒キープします。
- 吸う息でお腹を戻します。
- これを5回繰り返します。
ポイント: * 息を吐きながら、お腹の力を意識的に使い、へこませるのが重要です。 * 肩や首に力が入らないようにリラックスして行いましょう。 * 慣れてきたら、息を吐ききってお腹をへこませた状態を10秒キープしてみましょう。
2. シーテッド・マーチ(座ったまま)
座ったまま足踏みをするような動きで、体幹の安定性を意識するエクササイズです。腹筋や股関節周りの筋肉も使います。
- 椅子に座り、背筋を軽く伸ばします。足の裏を床につけましょう。手は太ももの上に置きます。
- お腹(体幹)を軽く引き締める意識を持ちます。
- 右足を床からゆっくりと浮かせ、膝を曲げたまま太ももを上げます。このとき、体が後ろに傾いたり、左右にブレたりしないように体幹を意識します。
- ゆっくりと右足を床に戻します。
- 同様に左足をゆっくりと上げて戻します。
- 左右交互に、それぞれ10回ずつ繰り返します。
ポイント: * 早く行うよりも、ゆっくりとコントロールして行うことが大切です。 * 足を上げたときに、体がぐらつかないように体幹で安定させることを意識しましょう。
3. シーテッド・キャット&カウ(座ったまま)
椅子の背もたれを使わず、背骨の柔軟性を出しながら体幹も意識するエクササイズです。
- 椅子に浅く腰掛け、足の裏を床につけ、背筋を軽く伸ばします。手は膝の上に置きます。
- 息をゆっくりと吐きながら、お腹をへこませ、背中を丸めます。頭を少し下げ、おへそを覗き込むような姿勢になります(キャットの姿勢)。
- 息をゆっくりと吸いながら、背筋を伸ばし、胸を張り、顔を少し上げます。背中を軽く反らせるイメージです。このとき、お腹を少し前に突き出すような感覚になります(カウの姿勢)。
- 呼吸に合わせて、ゆっくりとこの動きを5〜8回繰り返します。
ポイント: * 腰だけを反らせたり丸めたりするのではなく、背骨全体がしなやかに動くことを意識しましょう。 * 動きと呼吸を連動させることで、より効果的に体幹や自律神経にも働きかけます。
不調を予防する日頃の習慣と意識
セルフケアエクササイズに加えて、日頃のちょっとした意識や習慣も体幹の機能維持には大切です。
- 座る姿勢を意識する: 深く腰掛け、骨盤を立てて座ることを意識しましょう。背筋はピンと張りすぎず、体のS字カーブを保つイメージです。このとき、お腹を軽く引き締める「ドローイン」を意識するだけでも、体幹が働きやすくなります。
- 定期的に立ち上がる: 1時間に一度は立ち上がり、軽く体を動かす習慣をつけましょう。立って歩くだけでも、座っているときよりも多くの体幹筋が使われます。
- 作業中の「ながらドローイン」: PC作業中など、集中している合間にも、気づいたときにお腹を軽くへこませてキープする「ながらドローイン」を取り入れてみましょう。
- 歩く機会を増やす: 通勤時や休憩時間などに意識して歩く時間を増やすことは、体幹をはじめ全身の筋肉を使う良い機会になります。
まとめ
長時間の座り仕事は、気づかないうちに体の中心である体幹インナーマッスルを弱らせてしまうことがあります。これが様々な体の不調につながる可能性も否定できません。
しかし、今回ご紹介したような簡単なセルフケアや日頃の意識を変えることで、体幹の機能を活性化し、体の安定性を高めることが可能です。休憩時間などにこれらのケアを習慣として取り入れていただくことで、座り仕事による不調の軽減や、より快適な毎日につながることを願っています。
体幹を整え、座り仕事の時間をより快適に過ごしましょう。