座り仕事で固まる鎖骨・胸骨周りをケア:呼吸も深まる簡単セルフケア
長時間の座り仕事で感じる不調、鎖骨や胸骨周りも原因かもしれません
毎日、長時間パソコンに向き合う座り仕事は、私たちの体に様々な負担をかけます。肩こり、首のつらさ、目の疲れ、そして全身の重だるさ。こうした不調を感じている方は多いのではないでしょうか。
これらの不調は、同じ姿勢を続けることで特定の筋肉が凝り固まったり、血行が悪くなったりすることが主な原因です。特に見落とされがちなのが、鎖骨や胸骨の周辺です。
前かがみの姿勢が続くと、鎖骨と胸骨の間の組織が縮こまりやすくなります。この部分が固まると、胸郭(肋骨と胸骨でできたカゴ状の部分)の動きが悪くなり、呼吸が浅くなったり、肩や首への負担が増えたりすることがあります。
ここでは、座り仕事で固まりやすい鎖骨・胸骨周りを手軽にケアし、呼吸を深くして体の負担を和らげるための簡単なセルフケア方法をご紹介します。休憩時間や作業の合間に取り入れて、体の軽さを取り戻しましょう。
なぜ鎖骨・胸骨周りが固まりやすいのか
長時間の座り仕事では、無意識のうちに体が丸まり、肩が前に出る「巻き肩」のような姿勢になりがちです。この姿勢では、胸の筋肉(大胸筋など)が縮こまり、鎖骨や胸骨といった体の前面が閉じた状態になります。
また、キーボードやマウス操作で腕を前に固定している時間が長いため、鎖骨の下を通る血管や神経が圧迫されたり、鎖骨に付着する筋肉が緊張したりすることもあります。浅い呼吸も、胸郭の動きを制限し、胸骨周りの柔軟性を失わせる要因となります。
このように、座り仕事特有の姿勢や体の使い方が、鎖骨や胸骨周りの組織を固くし、様々な不調を引き起こす可能性があるのです。
座り仕事中にできる鎖骨・胸骨周りの簡単セルフケア
これからご紹介するのは、オフィスや自宅で、座ったままでも短時間で行える簡単なケア方法です。特別な道具は必要ありません。
1. 鎖骨周りの優しいほぐし
鎖骨の周りには、リンパ節や血管、神経などが多く集まっています。ここを優しくほぐすことで、滞りがちな流れを促し、周辺の筋肉の緊張を和らげることが期待できます。
手順:
- 椅子に座り、リラックスします。
- 片方の手の指の腹を使います。
- ほぐしたい側の鎖骨に沿って、指を優しく置きます。
- 鎖骨の上に沿って、内側(胸骨側)から外側(肩側)へ、リンパを流すようなイメージでゆっくりと数回なぞります。力を入れすぎず、皮膚の上を滑らせる程度で十分です。
- 次に、鎖骨の下に沿って、同様に内側から外側へ数回なぞります。
- 鎖骨と胸骨がぶつかるくぼみの部分を、指の腹で優しく円を描くように数回ほぐします。
- 反対側の鎖骨周りも同様に行います。
ポイント:
- 肌にオイルやクリームをつけると、よりスムーズに滑らせることができます。
- 強い力で押したり擦ったりせず、優しく丁寧に行ってください。
- 痛い場所があれば、無理せずソフトに触れるだけにします。
- 呼吸を止めず、リラックスして行いましょう。
2. 胸骨周りの簡単なストレッチ
胸骨は肋骨とつながっており、呼吸の動きに深く関わっています。胸骨周りを動かすことで、肋骨や胸郭全体の柔軟性を高め、呼吸を楽にすることが期待できます。
手順:
- 椅子に座り、背筋を軽く伸ばします。
- 片方の手の指の腹を、胸骨の上に置きます(鎖骨の下あたり)。
- 指の腹で胸骨に軽く圧をかけながら、皮膚ごと数ミリだけ、上に引き上げるように動かして10秒ほどキープします。
- 次に、同じように軽く圧をかけながら、下に引き下げるように動かして10秒ほどキープします。
- 胸骨に沿って少しずつ位置をずらしながら(例えば、胸の中央、みぞおちの少し上など)、同様に上下への動きを繰り返します。
- 可能であれば、左右方向にも数ミリだけ動かしてみて、固さを感じる部分を重点的に行います。
- 最後に、両手の指の腹で胸骨全体を優しく撫でるようにほぐします。
ポイント:
- 骨そのものを押すのではなく、骨の上の皮膚や組織を優しく動かすイメージです。
- 痛みを感じたらすぐに中止してください。
- 深い呼吸を意識しながら行うと、より効果を感じやすい場合があります。
3. 胸と鎖骨を開く簡単ストレッチ
前かがみで固まった胸の筋肉を伸ばし、鎖骨周りを広げるストレッチです。固まった体の前面を開放することで、姿勢の改善や呼吸の深さに繋がります。
手順:
- 椅子に深く座り、背もたれから少し体を離します。
- 両手を体の後ろで組みます(組むのが難しい場合は、両方の肘を軽く曲げ、肩甲骨を寄せるイメージで胸を開くだけでも構いません)。
- 組んだ手を、できる範囲でゆっくりと下に引き下げながら、肩甲骨をぐっと引き寄せ、胸を前に突き出すイメージで開きます。
- 顎を軽く引き、目線を少しだけ上に向けます。
- この姿勢のまま、鼻からゆっくり息を吸い込み、口から細く長く吐き出す深呼吸を3〜5回繰り返します。
- ゆっくりと最初の姿勢に戻ります。
ポイント:
- 腰を反りすぎないように注意してください。背骨全体で胸を開くイメージです。
- 肩や首の力は抜き、リラックスして行います。
- 呼吸に合わせて、胸が広がるのを感じましょう。
不調を予防するための日頃の習慣
セルフケアも大切ですが、不調を根本から防ぐためには日頃の習慣も重要です。
- 正しい姿勢を意識する: 座る際は、骨盤を立て、背筋を軽く伸ばし、鎖骨が左右に広がっているようなイメージで座るように心がけましょう。
- 定期的な休憩: 最低でも1時間に一度は席を立ち、軽く体を動かしたり、伸びをしたりする習慣をつけましょう。
- 深い呼吸を意識する: 作業中も時々、お腹と胸を使ってゆっくりと息を吸い込み、最後まで吐き切る深い呼吸を数回行うことで、胸郭の動きを保ちやすくなります。
- 環境の見直し: デスクや椅子の高さ、モニターの位置などが体格に合っているか確認しましょう。
まとめ
長時間の座り仕事による体の不調は、肩や腰だけでなく、意外な部分である鎖骨や胸骨周りの固さが関係していることがあります。この部分を適切にケアすることで、呼吸が深まり、姿勢が改善し、結果として肩や首の負担軽減に繋がる可能性があります。
今回ご紹介した鎖骨周りの優しいほぐし、胸骨周りのストレッチ、胸を開くストレッチは、どれも座ったまま短時間でできる簡単な方法です。ぜひ日々の休憩時間や作業の合間に取り入れてみてください。
継続することで、体の軽さや呼吸のしやすさを実感できるはずです。「座り仕事ケアnavi」では、他にも様々なセルフケア方法をご紹介していますので、ご自身の体の状態に合わせて参考にしていただければ幸いです。