座り仕事で硬くなりがちな内もも(内転筋)をケア:簡単ストレッチと習慣
長時間座って作業を続けていると、肩や首、腰など、よく知られた部位だけでなく、意外な場所にも不調や硬さが出やすくなります。その一つが「内もも」です。
座っている間、内ももの筋肉(内転筋群)は圧迫されたり、あまり使われなかったりするため、血行が悪くなり、硬くなりがちです。内ももの硬さは、骨盤の不安定さや姿勢の崩れ、股関節の動きの制限、さらには腰や膝のつらさにも繋がることがあります。
この記事では、座り仕事で硬くなりやすい内ももをケアするための、オフィスや自宅で手軽に行える簡単なストレッチと、日頃から意識したい習慣をご紹介します。内ももをほぐして、体の土台である骨盤周りを整え、座り仕事による不調を和らげましょう。
なぜ座り仕事で内ももが硬くなるのか?
内ももには、骨盤から太ももの内側を通って膝の内側まで繋がる「内転筋群」と呼ばれる複数の筋肉が集まっています。これらの筋肉は、脚を閉じたり、股関節を安定させたりする重要な役割を担っています。
長時間座った姿勢では、以下の理由で内転筋が硬くなりやすいと考えられます。
- 圧迫: 座面によって太ももの裏側から内側にかけてが圧迫され、血行が悪くなります。
- 不動: 脚を閉じたり開いたりする動きが少なくなり、筋肉があまり使われずに固まってしまいます。
- 不良姿勢: 脚を組むなどの偏った座り方は、内転筋に左右差を生じさせ、特定の部位を硬くしたり弱らせたりします。
内ももの硬さは、股関節の動きを制限し、骨盤を不安定にさせることがあります。これが続くと、姿勢が悪くなったり、腰や股関節、膝に余計な負担がかかり、つらさの原因となることがあります。
座ったままできる内ももの簡単ストレッチ
まずは、デスクで作業の合間に手軽に行える、座ったままの内ももストレッチをご紹介します。
1. 開脚前屈ストレッチ(椅子に座って)
- 椅子の前に浅く座り、両足を大きく開きます。膝は軽く曲がっていても構いません。
- 両手を太ももの内側、膝に近いあたりに置きます。
- 息をゆっくり吐きながら、背筋を軽く伸ばしたまま、股関節から体を前に倒していきます。手で内ももを軽く押さえながら行うと、より内ももに意識を向けやすくなります。
- 内ももの伸びを感じる場所で呼吸を続けながら、20秒程度キープします。
- 息を吸いながらゆっくりと体を起こします。
- この動作を2〜3回繰り返しましょう。
ポイント: 無理に深く前屈する必要はありません。内もも全体、特に股関節に近い付け根のあたりが心地よく伸びているのを感じましょう。痛みを感じるほど強く伸ばさないように注意してください。
2. 片足を開くストレッチ(椅子に座って)
- 椅子の前に浅く座り、片方の足を真横または少し斜め前に大きく開きます。もう片方の足は通常通り床につけておきます。
- 開いた足の膝は軽く伸ばすか、少し曲げておき、かかとを床につけます。つま先は天井方向に向けると、より内ももが伸びやすくなります。
- 両手を膝や太ももに置き、姿勢を安定させます。
- 息をゆっくり吐きながら、開いた側の内ももに伸びを感じる場所で呼吸を続けながら、20秒程度キープします。
- 息を吸いながらゆっくりと元の体勢に戻ります。
- 反対側の足も同様に行います。
- 左右それぞれ2〜3回繰り返しましょう。
ポイント: 体が前のめりになりすぎないように、骨盤を立てる意識を持つと、内ももへの効果が高まります。伸ばしている側の内もも全体がじわじわと伸びるのを感じましょう。
立って行う内ももの簡単ストレッチ
休憩時間などに少し席を離れられる場合は、立って行うストレッチも効果的です。
サイドランジストレッチ
- 足を肩幅よりも大きく開き、つま先を少し外側(斜め前)に向けます。
- 両手は腰に当ててバランスを取りやすくします。
- 息をゆっくり吐きながら、片方の膝を曲げ、そちら側に重心を移動させていきます。反対側の足は膝を伸ばしたまま、内ももが伸びるのを感じます。
- 内ももの伸びを感じる場所で呼吸を続けながら、20秒程度キープします。
- 息を吸いながらゆっくりと元の体勢に戻ります。
- 反対側の足も同様に行います。
- 左右それぞれ2〜3回繰り返しましょう。
ポイント: 膝を曲げる側の足は、膝がつま先よりも前に出すぎないように注意しましょう。伸ばしている側の足のつま先を外側に向ける角度を調整することで、伸びる場所が変わります。最も内ももが伸びると感じる角度で行ってください。
日頃から意識したい内ももケアの習慣
セルフケアに加えて、日頃の意識や習慣を変えることも、内ももの硬さを予防するために大切です。
- 正しい座り方を意識する: 深く腰掛け、足裏全体を床につける基本的な正しい座り方を心がけましょう。これにより、太ももへの不要な圧迫を減らすことができます。
- 脚を組む癖をやめる: 脚を組む姿勢は骨盤の歪みを招き、内ももの筋肉にも負担をかけます。できるだけ避けるように意識しましょう。
- 定期的に立ち上がる・動く: 最低でも1時間に一度は席を立ち、軽く歩いたり、上記のような簡単なストレッチを行ったりして、内ももを含む全身の血行を促進しましょう。
- 座りながら軽く内ももを意識する: 座っている最中に、軽く内ももを閉じるように意識するだけでも、内転筋が少し活性化され、硬くなるのを和らげる助けになります。
まとめ
長時間の座り仕事は、体全体に様々な影響を及ぼしますが、見過ごされがちな内ももの硬さもその一つです。内ももの硬さは、骨盤の安定性の低下や姿勢の崩れに繋がり、腰や他の部位の不調の原因となる可能性があります。
この記事でご紹介した座ったまま、あるいは短時間でできる簡単なストレッチや、日頃からの意識改革を取り入れることで、内もものコンディションを整え、座り仕事による不調の予防・改善に繋げることができます。
休憩時間などを活用して、ぜひこれらのセルフケアを実践してみてください。小さな積み重ねが、快適な座り仕事環境を作る助けになるはずです。